高校時代からの親友の結婚式に招待された。
でも、私には昔から大きな弱点があった。
時間管理が本当に苦手だった。
大学時代も、テスト開始時間を勘違いして遅刻し、単位を落としたことが何度もある。
友人たちもそのことをよく知っていた。
「あなたは絶対に余裕を持って行動したほうがいい」
何度も言われてきたくらいだ。
そんな私に、結婚式の案内が届いた。
友人から言われた集合時間は、
「9:30から受付だからね」
だった。
正直、少し早いなと思った。
でも大切な友達の結婚式。
絶対に遅れたくない。
私は前日から準備をした。
服も用意した。
髪型も考えた。
当日はいつもより早く起きた。
「今回は絶対に遅刻しない」
そう自分に言い聞かせながら会場へ向かった。
そして到着した時間は10時。
受付場所へ向かうと、そこにいたのは新婦になった親友だった。
私を見るなり、目を丸くした。
「え?もう来たの?」
その一言に、私は違和感を覚えた。
「え?だって9:30受付って言ったよね?」
すると友人は少し困った顔をした。
「あ……」
その瞬間、嫌な予感がした。
そして知らされた事実。
結婚式の開始時間は11時。
受付開始も本当はもっと後だった。
つまり私は、1時間以上前に到着していたのだ。
「なんでそんな早い時間を教えたの?」
そう聞くと、友人たちは笑いながら答えた。
「だって、あなたに本当の時間を伝えたら絶対ギリギリになると思ったから」
「だから少し早い時間を伝えた」
まさかの作戦だった。
普通なら怒るところなのかもしれない。
でも、思い返せば納得しかなかった。
昔から私は、
「あと5分だけ大丈夫」
と言いながら準備が遅れるタイプだった。
旅行の日も集合時間ギリギリ。
待ち合わせでは最後に走ってくる。
友人たちはそんな私を責めることなく、ただ心配してくれていたのだ。
しかも当日、早く着いたおかげで会場のスタッフさんとゆっくり話せた。
新婦とも写真を撮れた。
慌てることなく、最高の状態で友人の晴れの日を迎えられた。
後から聞いた話では、友人たちは事前に何度も相談していたらしい。
「本当の時間を言ったら危ない」
「でも本人を傷つけたくない」
その結果が、私だけに伝えられた“9:30集合”だった。
最初は少し驚いたけれど、今では笑い話になっている。
結局、私は遅刻しなかった。
むしろ誰よりも早く会場に到着した。
昔から私の性格を理解して、怒るのではなく優しく対策してくれた友人たち。
結婚式の日、一番心に残ったのは綺麗なドレス姿だけではなかった。
「あなたはきっと大丈夫」
そう信じてくれる人がいることの温かさだった。