大切な記念日。
その日のために、私は普段より少しだけ奮発して、高級鰻店を予約していました。
彼女との節目の日だったからです。
忙しい毎日の中で、なかなか時間を作れない私たちにとって、その食事はただの外食ではありませんでした。
「今日は絶対に喜ばせたい」
そう思って、店選びにも時間をかけました。
予約は2名。
料金も事前に支払い済み。
準備は完璧だったはずでした。
しかし、店に到着すると、受付で思いもよらない言葉を聞かされました。
「本日は満席となっております」
一瞬、意味が分かりませんでした。
「予約しているはずです」
そう伝えると、店員は予約帳を確認しながら言いました。
「本日予約のお客様は全員そろっています」
さらに名前を伝えると、返ってきた答えは信じられないものでした。
「鉄様は、すでに来店済みになっています」
私は今、目の前にいる。
なのに店側の記録では、もう来店したことになっている。
何度確認してもらっても、対応は変わりませんでした。
「一度確認していただけませんか」
そうお願いしても、
「確認しました」
その一点張り。
そして最後には、
「これ以上粘られるなら営業妨害になります。警察を呼ぶしかありません」
と言われました。
記念日に警察沙汰。
そんな最悪の展開だけは避けたかった。
私は自分の予約ミスなのかもしれないと思い、その場を離れることにしました。
彼女は、
「きっとお店側の手違いだよ」
と慰めてくれました。
しかし家に戻って確認すると、そこには明確な証拠が残っていました。
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