夫婦で働きながら、いつか自分たちの家を持つ。
それが私たち夫婦の小さな目標だった。
夫は音楽関係の仕事で忙しく、出張も多かった。
私はメーカーの営業として働き、同じように家を空けることが多かった。
忙しい毎日だったが、2人で少しずつ貯金をして、いつか自分たちだけの家を持つ。
その未来を楽しみにしていた。
そんな生活の中で、私はある違和感を感じ始めていた。
出張から帰ると、家の中の小さな物がなくなっていることが増えたのだ。
最初は自分を疑った。
「あれ、どこに置いたんだっけ」
忙しさのせいで、記憶違いをしているだけだと思った。
でも、一度ではなかった。
お気に入りの小物。
大切にしていたアクセサリー。
日用品まで、少しずつ減っていた。
夫にも相談した。
「本当に無くなってるの?」
夫も最初は半信半疑だった。
「ひかりが出張先に持っていったんじゃない?」
そう言われれば、私も強く言えなかった。
確かに、自分が勘違いしている可能性もある。
そう思っていた。
あの日までは。
私たちは出張が多かったため、家を空けることも珍しくなかった。
義母は近くに住んでいて、夫とは仲が良かった。
「何かあった時のために」
そう言われて、以前、家の予備の鍵を渡したことがあった。
今思えば、それが間違いだったのかもしれない。
ある日、仕事から帰った私は、いつものように荷物を置いた。
するとスマホが鳴った。
相手は義母だった。
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