返事が途絶えたのは、10日前のことだったそうです。
最初は、「忙しいだけかもしれない」と思っていた母親も、何度電話しても折り返しがなく、嫌な胸騒ぎを抑えきれなくなりました。
そして部屋を訪ねた先で、31歳の息子がひとりで亡くなっていた現実を知ることになります。
息子が暮らしていたのは、2畳と3畳の二間しかない狭小部屋でした。
しかも、畳の上に浴槽が置かれているような特殊なつくりで、初めて見た人は「本当にここに31歳の若者が住んでいたのか」と言葉を失うほどだったといいます。
広さだけではありません。
そこには、誰にも弱音を見せないまま、最低限の暮らしを続けていた一人の人生の気配が、静かに残されていました。
けれど、何より胸を締めつけるのは、その後のことです。
亡くなった息子の遺品整理を行ったのは、業者任せではなく、ご両親自身だったそうです。
服、日用品、紙類、細かな持ち物。
ひとつ手に取るたびに、「この子は、ここでどんな毎日を過ごしていたのだろう」「苦しかった時、誰かに頼れなかったのだろうか」と、考えずにはいられなかったはずです。
親にとって、子どもが先にいなくなること自体が耐え難いことです。
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