私は詩織、28歳。
結婚して1年になる。
仕事は順調で、
夫との生活も、少なくともあの日までは穏やかだった。
でも私は昔から、
どうしても消えない傷を抱えていた。
私が10歳の時、
父は突然家を出ていった。
相手は不倫相手だった。
しかも父は、
家のお金まで持っていった。
残された母は専業主婦で、
私はまだ子どもだった。
明日どうやって暮らすのか、
本気で不安になる毎日だった。
母は必死に働いた。
私は中学を卒業したあと、
働きながら定時制高校に通った。
大学の費用も、
半分以上は自分で工面した。
だから今の生活は、
父のおかげではなく、
母と私が踏ん張って作ったものだと思っている。
そんな私の家に、
ある日突然、
女子高生が訪ねてきた。
「お姉さん、助けてください」
そう言って差し出された名前を見た瞬間、
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