朝の電車はいつも通り混雑していた。仕事へ向かう人、学校へ向かう学生、眠そうな顔でスマホを眺める人。俺もその中の一人だった。
その日は珍しく、仕事終わりに大切な予定が入っていた。久しぶりのデートだった。最近忙しくてなかなか会えなかった相手だったため、少しでも格好よく見られたいと思い、服装にも気を使っていた。
そんなことを考えながら電車に揺られていると、目の前の席に座っていた人が突然降りるために立ち上がった。
「やっと座れる」
そう思った瞬間だった。
俺が一歩前へ出て席に座ろうとした、その直後――。
後ろから強い力で肩を押された。
「え?」
バランスを崩した俺は、危うく隣の人にぶつかりそうになった。その隙に、後ろにいた男が何事もなかったかのように俺の狙っていた席へ座った。
一瞬、何が起きたのか理解できなかった。
「なんだ、この人……」
普通なら「すみません」と一言あってもいい場面だ。しかし、その男は俺を見ることもなく、窓の外を眺めているだけだった。
周囲の乗客もその光景を見ていたが、誰も何も言わない。
正直、腹は立った。
だが、今日はせっかくのデートの日だ。こんな小さなことで気分を台無しにしたくない。
俺は気持ちを切り替え、そのまま立ったまま電車に揺られることにした。
それから数分後。
突然、その男が大きくふらついた。
「あっ」
そう思った瞬間、男の体が俺の方へ倒れてきた。
俺は慌てて支えようとしたが、重さに耐えきれず、男はそのまま座席へ崩れ落ちた。
「大丈夫ですか?」
声をかけても反応がない。
さっきまで席を奪われたことで怒っていたはずなのに、その瞬間にはそんな気持ちは消えていた。
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引用元:https://www.youtube.com/shorts/Ia0M5CYxYI4,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]