冬の夕方、パートから戻った私・美香は、玄関先で小さな影が震えているのを見つけた。近づくと、頬がこけた女の子が涙目で「みかおばちゃん…」と呼んだ。姉が急逝してまだ一年も経っていない。姉の一人娘、未来ちゃん——本来は明るくふっくらした子が、骨ばった腕で膝を抱えていた。
慌てて家に入れ、温かいお茶と、家に残っていたカルピスを出した。
「どうしたの?お父さんは?」未来ちゃんは小さく言う。「パパがね、みかおばちゃんの家に行けって。遠くに行くんだって。もうおうちはないから帰っちゃだめって…」背筋が冷えた。義兄に電話しても出ない。夫に頼み、義兄のアパートを見に行ってもらうと、部屋は空っぽでカーテンさえ外されていた。職場に確認すると、すでに退職済み——蒸発だ。
その夜、眠る未来ちゃんの寝息を聞きながら、夫が静かに言った。「迎えに来るまで、うちで預かろう。こんな小さい子を一人にできない」私も腹を括った。歯ブラシ、下着、上履き。必要なものを買い揃えるだけで、未来ちゃんは何度も「お金、大丈夫?」と気にした。ごはんをお腹いっぱい食べるだけで泣きそうになる姿に、胸が痛んだ。
聞けば、義兄は「保育園は高いから」と、六歳の子を家に一人で留守番させていたという。
二週間後、深夜に義兄から電話が来た。声は驚くほど平然としていた。「娘はどうだ。……そのまま持っててくれ。もういらないから」言葉が理解できず固まる私に、義兄は吐き捨てた。「ガキの世話なんてやってられるか。身内が責任取れ」一方的に切れた通話の後、夫の顔が怒りで強張った。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=5DXcWkCdwQE,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]