「きゅうり11本、638円……?」
家計簿をつけていた私は、1週間前のレシートを見て固まった。
あの日買ったきゅうりは、どう考えても1本だけ。
ところがレシートには、
「きゅうり 11個×58円」
と印字されている。
セルフレジで数量を入力するとき、誤って「1」を連打したのかもしれない。
その場で確認しなかった私にも落ち度はある。
それでも、580円を余分に払ったまま諦めるのは納得できなかった。
翌日、私はレシートを持ってスーパーへ向かった。
サービスカウンターの店員に事情を説明すると、返ってきたのは冷たい一言だった。
「1週間も前ですよね?」
「本当に1本しか買っていないと証明できますか?」
私は言葉に詰まった。
そこへ責任者らしい男性が現れ、レシートを一瞥した。
「セルフレジは、お客様自身が操作するものです」
「会計後に確認しなかったのであれば、こちらでは対応できません」
さらに、小さく笑いながらこう続けた。
「今になって店のせいにされても困ります」
その言葉で、私の中の何かが切り替わった。
私は怒鳴らなかった。
レシートを指さし、静かに尋ねた。
「ここに会計時刻、レジ番号、取引番号が全部ありますよね?」
「当日の操作記録を確認してください」
責任者は面倒そうに首を振った。
「防犯カメラは、お客様の要望だけでは確認できません」
「システムに11本と出ている以上、11本購入した記録になります」
私はその場で本部のお客様相談室へ電話した。
レシートの写真を送り、会計した時刻とセルフレジ番号を伝えた。
さらに、
「11本のきゅうりを購入したなら、袋詰め台の映像にも11本映っているはずです」
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