「毎日歩いて通勤するのは迷惑です」
ある朝、会社のデスクに置かれていた1枚の紙。
そこには、手書きでそう書かれていました。
私は思わず何度も読み返しました。
「……私、何か悪いことをした?」
そう考えてしまうほど、突然の出来事でした。
私は30代の会社員です。
会社までは自宅から約40分。
以前は電車で通勤していました。
でも、運動不足を感じたことと、朝の満員電車が苦手だったことから、半年前から徒歩通勤に変えました。
毎朝少し早く家を出て、季節の変化を感じながら歩く。
雨の日はレインコートを着る。
暑い日は水筒を持つ。
ただ、それだけの普通の通勤でした。
もちろん会社の規則にも違反していません。
駐車場を勝手に使ったわけでもありません。
通勤経路も会社に届け出ています。
それなのに、なぜ突然こんな紙を置かれたのか。
メモにはこう続いていました。
「他の社員が車や電車で通勤している中、あなた一人だけ違う行動をすると周囲が困ります」
「毎朝、通勤中の姿を見られると気まずいです」
私はさらに驚きました。
徒歩通勤しているだけで、誰かに迷惑をかけているとは思っていなかったからです。
しかも、そのメモには名前がありませんでした。
誰が書いたのかも分かりません。
私は怒りよりも、不思議な気持ちになりました。
「なぜ通勤手段まで他人に決められなければいけないんだろう」
その日の昼休み。
私は同僚に相談しました。
すると意外な反応が返ってきました。
「え?徒歩で来てること、気にしてる人なんていないよ」
「むしろ健康的でいいと思ってた」
「誰がそんなこと書いたの?」
誰も心当たりがありませんでした。
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