「袋いりますか?」
その言葉が、店内で何度も繰り返されていました。
ある日の夕方。
私はセブンイレブンでレジの列に並んでいました。
前には、70代くらいのお爺さんが1人。
手には小さなお財布。
そしてレジに置かれたのは、おにぎり1個でした。
店員さんが商品を読み取ります。
「袋いりますかー?」
少し早口な声でした。
お爺さんは優しく答えました。
「袋は大丈夫ですよ……」
そして少し間を置いて、
「あと、メビウスを2つください」
そう言いました。
すると女性店員は淡々と返しました。
「番号で言ってください」
お爺さんは少し困った顔をしました。
「すいません……見えなくて」
その一言で、私は気づきました。
お爺さんは商品の番号を見ることが難しい状態だったのです。
でも、店員さんは特に表情を変えませんでした。
お爺さんは申し訳なさそうに続けました。
「じゃあ……いいです」
「それと、唐揚げありますか?」
「あります」
「じゃあ、それを1つください」
店員さんは商品を追加しました。
そして会計前。
また同じ言葉が飛びました。
「袋いりますかー?」
お爺さんは答えました。
「袋、大丈夫ですよ」
私は少し違和感を覚えました。
なぜなら、今の会話で何度も確認していたからです。
そして会計。
「〇〇〇円になります」
「1000円で」
お爺さんがお札を渡しました。
すると女性店員がまた言いました。
「袋いりますかー?」
その瞬間。
隣のレジにいた男性店員が手を止めました。
そして静かな声で言いました。
「何回袋確認するんですか?」
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