「誰の車だ、これ……」
北日本新聞納涼花火大会が始まる少し前。
会社の従業員用駐車場を確認すると、見覚えのない黒い車が堂々と停まっていた。
しかも降りてきたのは、大人と子どもを含む6人ほどの家族連れ。
全員が楽しそうに荷物を持ち、有沢橋方面へ歩いていく。
入口には大きく、
「従業員専用」
「無断駐車禁止」
「営業時間外は出入口を施錠します」
と表示してある。
見落とせる大きさではない。
私はすぐに車両全体とナンバー、駐車時刻が分かる写真を撮影した。
さらに防犯カメラを確認すると、運転していた男が看板を一度読んだあと、周囲を見回して駐車する姿まで残っていた。
つまり、知らなかったのではない。
分かったうえで、
「今日くらい大丈夫だろう」
と判断したのだ。
その駐車場は、花火大会の見物客向けではない。
休日出勤している従業員や、緊急対応の車両が使う大切な場所だ。
私は管理責任者へ連絡し、通常どおり終業後に入口のチェーンを閉めた。
車を傷つけたり、タイヤを固定したりはしていない。
ただし看板に書かれているとおり、次の営業日までは開けられない。
花火大会が終わった午後9時40分。
駐車場の前から、怒鳴り声が聞こえた。
「あれ、うちの車なんだけど!早く開けてよ!」
先ほどの家族が戻ってきたのだ。
父親らしい男は、閉じられた入口を見て顔を真っ赤にしていた。
「少し停めただけだろ!」
「子どももいるんだぞ!」
「こんなの嫌がらせだ!」
私は静かに入口の看板を指差した。
「ここは従業員専用です。
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