「祝儀も出せない無職は身内の恥ですから、明日の式には来ないでくださいね」
結婚式の前日、兄の婚約者であるリオナさんから突然そう電話が来た。
その声は、初めて家に来た時の控えめな笑顔とはまるで別人だった。
「貧乏人が親族席にいると、直之さんまで恥をかきますから」
私は言葉を失った。
私の名前はミオ。
二十八歳で、家でぬいぐるみを作る仕事をしている。
亡くなったペットに似せたぬいぐるみや、空想上の生き物を作る作家で、ありがたいことに注文は途切れたことがない。
けれど兄の直之は、それをリオナさんに「家にいるだけ」とでも話していたらしい。
最初にリオナさんが家へ挨拶に来た日、私は少し違和感を覚えていた。
父と兄には愛想よく話すのに、母と私には短い返事だけ。
私が「好きな動物があれば、ぬいぐるみを作りますよ」と言うと、彼女はにっこり笑って言った。
「私、ぬいぐるみも動物も嫌いなんです」
その一言で、胸の奥に小さな棘が刺さった。
それでも兄は彼女に夢中だった。
「リオナはそんな子じゃない」
私が何を言っても、その一言で片づけられた。
母だけは次第に彼女の態度に気づき始めていた。
「男性の前と女性の前で、ずいぶん違う人ね」
けれど式の準備は進み、私たちは何もできないまま前日を迎えた。
そこへ来たのが、あの電話だった。
私は震える手で母に伝えた。
「リオナさんに、式に来るなって言われた」
母の顔色が変わった。
「なら、私も参加しないわ」
その直後、玄関のチャイムが鳴った。
立っていたのは、リオナさんのお母さんだった。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=hyH1YasRke0,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]