朝から、私は余裕がなかった。
何度言っても片付けない。
何度注意しても聞かない。
9歳の長男と5歳の次男。
いつもなら笑って流せるようなことなのに、その日は違った。
寝不足。
家事の疲れ。
積み重なった小さなイライラ。
気づけば、私は子どもたちに強い口調で怒っていた。
「何回言ったら分かるの!」
「もう知らない!」
言った後で、自分でも分かっていた。
子どもたちは悪い子なんかじゃない。
ただ、まだ子どもなのだ。
でも、止まらなかった。
そして私はそのまま2階へ上がった。
「もう今日は誰とも話したくない」
そう思って、布団に入った。
昼前だった。
本当なら、ご飯の時間。
いつもなら私が準備する。
冷蔵庫を開けて、子どもたちの好きなものを考えて作る。
でもその日は、何もしたくなかった。
「少しくらい困ればいい」
そんな意地悪な気持ちも、正直少しあった。
2階でふて寝をしていると、下から小さな声が聞こえた。
「どうする?」
「自分たちで食べよう」
9歳の長男の声だった。
私は聞こえないふりをした。
でも、耳だけは下の様子を追っていた。
2人で冷蔵庫を開けたのだろう。
食器を出したのだろう。
普段は私が全部やっていること。
小さな手で準備している姿を想像した。
しばらくすると、家の中が静かになった。
どうやら2人でご飯を食べたようだった。
「ちゃんと食べられたんだ……」
少し安心した。
でも、まだ私は素直になれなかった。
その時だった。
階段を上がる足音がした。
トントン。
ドアの前で止まる。
「お母さん……」
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