夏休みの終わり、長女がバイト先から帰ってきた瞬間、玄関で靴も脱がずにスマホを握りしめて固まっていた。
「え、うそでしょ……」
最初は給料が入って嬉しくて、ニコニコしながら明細を確認していた。長女の夏休みはたった3週間。友達と遊びたいのも我慢して、休みの前半は朝から夕方までかなりバイトに入っていた。
「これで欲しかった服買えるかも」
そう言っていたのに、明細を見た次の瞬間、顔色が一気に変わった。
支給額、17,040円。
私は思わず二度見した。
明細には、出勤日数9日、勤務時間は50時間30分と書かれている。さらに別枠で0時間30分。合計すれば、どう考えても高校生の夏休みバイトとしてはそれなりに働いている。
それなのに、手取りどころか総支給額まで17,040円。
長女は震える声で言った。
「私、9日も行ったよ? 50時間以上働いたよ? なんでこれだけなの?」
最初は私も、交通費が引かれたのか、制服代があるのか、何かの控除かと思った。でも明細を見る限り、課税対象額も総支給額も同じ17,040円。
計算が合わない。
長女は怒りと悔しさで目に涙をためながら、
「もういい、辞める」
と言い出した。
でも私は止めた。
「辞めるのは後でもできる。まず証拠をそろえて、ちゃんと聞きなさい」
長女のスマホには、バイト先とのシフト連絡が残っていた。出勤した日のメッセージ、店長からの「明日も入れる?」という連絡、退勤後に友達へ送った「今日7時間きつかった」という文面。
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