朝の通学路で、いつものような光景があった。
小学生の女の子が、大きなランドセルを背負って歩いていた。
まだ少し眠そうな顔。
でも、学校へ向かう小さな背中は一生懸命だった。
そこに、近所を歩いていた70歳くらいの女性がいた。
女性は、その子を見て声をかけた。
「いってらっしゃい」
そして、軽くランドセルに触れた。
「今日も頑張ってね」
そんな気持ちだったのかもしれない。
昔なら、近所のおばあちゃんが子どもに声をかける。
そんな当たり前の地域の風景だった。
しかし数日後、地域に届いたメールを見た住民は驚いた。
タイトルは、
「不審者に注意」
内容には、
「70歳くらいの女性が、徒歩で通学中の小学生女児に対し、『いってらっしゃい』と言いながらランドセルを叩くという事案が発生しました」
と書かれていた。
さらに、
「不審者は、服装等不明の70歳くらいの女性1人」
と続いていた。
この文章だけを見ると、知らない人が子どもに接触した危険な出来事のようにも感じる。
しかし、地域の人からは別の声も上がった。
「それだけで不審者になるの?」
「昔なら普通にあった光景なのに」
「子どもを守ることは大事。
でも、地域のつながりまでなくならないか」
という意見だった。
もちろん、子どもの安全は何より大切。
知らない人から声をかけられたり、触れられたりすることに不安を感じる家庭もある。
特に今の時代、学校や地域が慎重になるのは当然のことだ。
一方で、今回のような出来事を見て、多くの人が考えたこともあった。
「善意と危険の境目はどこなのか」
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