結婚して三年目。夫の拓海は、穏やかで誠実な人間だった。しかし、彼の過去については不思議なほど多くを語らない。彼が唯一、沈鬱な表情で明かした過去があった。それは、彼が高校二年生の修学旅行中に、実家で惨殺事件が起き、家族全員を失ったという壮絶な話だった。
「犯人は、まだ捕まっていないんだ」
そう語る夫の目は、深い悲しみと空虚な影に覆われていた。
私はその悲劇に同情し、寄り添うことを誓った。しかし、私の心には、拭いきれない違和感が常にこびりついていた。
実は、私もまた幼い頃に同じような悲劇を経験していたのだ。私の実家も、ある事件によって一家離散し、両親と姉を失った。あの時の絶望、誰にも言えない孤独……。拓海の話を聞くたびに、彼の悲しみと私の記憶がどこか奇妙にリンクする感覚があった。だが、二人の物語があまりにも似すぎていることに、どこか座りの悪さを感じていた。
ある日のこと。拓海が長年の出張から帰宅した夜、私はふと彼のクローゼットの奥に隠された古い革製の鞄に目が留まった。彼は普段、そこを固く閉ざしている。何気ない好奇心から、私はその鞄を手に取った。
中には、数枚の古い新聞の切り抜きと、見覚えのない一枚の写真が入っていた。
その写真は、かつて私が実家で撮った家族写真だった。しかし、写っているはずのない人物が、写真の端で不気味な笑みを浮かべていた。それは、私の家を襲った犯人の特徴と完全に一致していた。
背筋に冷たいものが走った。私は急いで、夫が語っていた「修学旅行中の事件」について、当時の地方紙のアーカイブを徹底的に調べ上げた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=cPR3TzbRJSI,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]