義妹夫婦が事故で亡くなったと聞いた日、私は現実を受け止めることができなかった。
残されたのは、五歳の娘、結衣だった。
葬儀の間、結衣は声を上げて泣くこともせず、小さな手で遺影を見つめていた。
その姿があまりに痛々しくて、私は胸が締めつけられた。
私はまりえ、三十五歳。
夫の翔太とは結婚五年目で、二歳の息子・陸がいる。
翔太は三人きょうだいの真ん中で、兄と妹がいた。
義妹夫婦は本当に仲が良く、結衣も明るくて優しい子に育っていた。
陸は会うたびに「ゆいたん、ゆいたん」と結衣にまとわりつき、結衣も小さなお姉ちゃんのように面倒を見てくれていた。
だからこそ、あの子をどこへ行かせるのかという話になった時、誰も簡単には口を開けなかった。
義母は体調を崩しがちで、結衣の父方の祖父母も足が悪い。
私たちにはまだ手のかかる陸がいる。
そこで義母は、義兄夫婦に頭を下げた。
「結衣を引き取ってもらえないかしら」
義兄は迷いながらも頷きかけた。
けれど、その隣にいた義兄嫁が突然声を荒げた。
「どういうことですか? 私に自分の子どもを諦めろって言うんですか?」
義兄嫁は四十歳を迎え、不妊治療を続けていた。
その焦りは理解できる。
でも、彼女の口から出た言葉は、あまりにも冷たかった。
「他人の子なんていりません。しかも、あの夫婦の子でしょう? 大した学歴もない人たちの子なんて、たかが知れてます」
部屋が凍りついた。
結衣は少し離れた場所で、下を向いて座っていた。
聞こえていないはずがない。
私はその小さな背中を見た瞬間、決めた。
「結衣は、私たちが引き取ります」
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=UEdw-hQi_G8,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]