病院の個室ではない部屋で、私は何度も息子に「ごめんね」と声をかけていた。
手術を控えた小さな体。
慣れない白い天井。
聞き慣れない機械音。
息子は不安でいっぱいだったのか、夜になると何度も泣いてしまった。
私は必死に抱きしめた。
「大丈夫だよ」
「ママがいるからね」
そう言いながら、時計を見ると深夜になっていた。
でも、私の心の中には別の不安もあった。
隣のベッドの方に迷惑をかけているかもしれない。
「うるさくて眠れなかったらどうしよう……」
そう思うたびに胸が苦しくなった。
病院という場所は、誰もが不安を抱えている。
隣の方だって、きっと大変な状況なのに。
私は何度も小さな声で息子をあやしながら、朝を迎えた。
翌日。
息子の手術の時間が近づき、私は病室を離れることになった。
不安でいっぱいだった。
「ちゃんと戻ってこられるかな」
「怖がっていないかな」
そんな思いを抱えながら、息子の手を握った。
そして手術が終わり、病室へ戻った時だった。
ベッドの上に、見覚えのない白い紙が置かれていた。
「隣のベッドの方です」
そこには、手書きの文字が並んでいた。
『退院しますので残数があるテレビカードを使って下さい』
『お子様、お大事になさって下さい』
そして、その横にはテレビカードが置かれていた。
私はその場で動けなくなった。
「あんなに泣いていたのに……」
「迷惑をかけていたと思っていたのに……」
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