うちの実家は大家族なので、毎年年末になると全員集まって餅つきをし、それぞれ料理を持ち寄って大宴会を開くのが恒例だ。
去年も例年通り餅つきの準備をするため、長女一家、長男一家、次女一家、私(三女)の家族、次男、三男、四男が勢ぞろいした。父は嬉しそうに大きな木槌と手水鉢を用意していたところ、突然「ウッ!」と声を上げてしゃがみ込み、動けなくなった。
昔から持っている腰の古傷が悪化したらしく、家中が一気に大騒ぎになった。
母と長女は安静にしていれば治まるだろうと、父の腰と背中に湿布をたくさん貼った。長男は肩を貸して父を縁側へ連れて行き、「ここに座って大人しく餅つきを見ててね」と言った。
広間には皆が持ち寄った寿司、カニ、煮物などがずらりと並んでいる。父は一人縁側に座り、庭で威勢よく餅をつく家族たちを寂しそうに眺めていた。その姿を見た長女、長男、次女と孫たちが可哀想に思ったらしい。
子供たちは次々と父のもとへ寄ってきて、「ほら爺ちゃん、私だって餅つきできるよ!」「爺ちゃん、つきたての餅食べて」と話しかけ、たくさん構ってもらった父はやっと笑顔になった。
その後、うちの 3 歳の娘がいつものように父の背中に乗ろうと、後ろからぎゅっと抱きついた。父は一瞬腰の痛みを忘れたのか、「おおっ、おいで」と前に屈んだ瞬間、「へぇぁっ!」と変な悲鳴を上げた。
娘を落とさないよう左手でしっかり押さえながら、父はそのまま前のめりに庭へ崩れ落ちた。私たちはびっくりして駆け寄り起こすと、父は「腰が、腰が…」と呻いた。
母と長男は慌てて救急車を呼ぼうと大騒ぎしたが、父がすぐ「違う、腰が入った!」と止めた。
どうやらずれていた腰の骨が偶然正しい位置に戻ったらしい。少しピリピリする違和感は残るものの、激しい痛みはすっかり消え、その後普通に歩けるようになった。三男と四男は医療関係の仕事をしているので、念のため救急外来へ連れて行ったが、レントゲン検査で異常は一切見つからなかった。
ただの偶然だとは思うが、年末年始はお年寄りがはしゃぎすぎて怪我をするケースが多いから気をつけろ、と三男四男に注意され、父がしょんぼり落ち込んでいる姿が面白かった。
結局、年明けで親戚全員が帰宅するまで父の腰は何事もなく過ぎた。年末年始中、父は孫たちと遊ぶことに夢中でずっとはしゃいで、母に何度も怒られていた。
引用元:,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]