吉村昌信、35歳。
4年前、俺は最愛の妻を失った。
突然の別れだった。
残されたのは、まだ幼かった娘の未来。
それからの俺の人生は、未来を守ることだけだった。
朝起きて弁当を作る。
仕事をして、帰れば娘の宿題を見る。
父親として足りない部分があるかもしれない。
それでも、未来だけは絶対に寂しい思いをさせたくなかった。
そんな俺を支えてくれた人がいた。
亡き妻の双子の姉、皐月だった。
妻とよく似た顔立ち。
でも性格は少し違う。
妻が明るく太陽のような人だったなら、皐月は静かで温かい月のような人だった。
未来にも優しく接してくれた。
「お父さん、一人で全部頑張らなくていいんだよ」
そう言ってくれる存在だった。
ある日、義父から突然呼び出された。
そこで聞いた言葉に、俺は驚いた。
「昌信君……皐月と結婚してくれないか」
最初は戸惑った。
亡くなった妻を裏切るような気がしたからだ。
でも、義父は静かに続けた。
「未来のことを一番大切に考えてくれるのは、皐月だと思う」
その言葉に、俺は考えた。
これは自分の幸せのためだけではない。
未来にとっても、新しい家族を作る選択なのかもしれない。
そして俺は、皐月との再婚を決めた。
未来に話した時、娘は少し黙った。
「……お母さんのこと、忘れない?」
その言葉に胸が締め付けられた。
「忘れるわけないだろ」
そう答えると、未来は小さく笑った。
「じゃあ……いいよ」
こうして、俺たちの新しい生活が始まった。
そして迎えた、皐月との初めての夜。
緊張していた。
夫婦になるとは決めたものの、気持ちはまだ追いついていなかった。
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