雨の日の宅配で、まさか10分以上も荷物と格闘することになるとは思わなかった。
その日は朝から雨が降っていた。
仕事から帰宅すると、宅配ボックスの中に荷物が届いていた。
「やっと届いた」
楽しみにしていた荷物だったので、すぐに取り出そうとした。
暗証番号を入力し、扉を開けた瞬間。
私は言葉を失った。
段ボールが、宅配ボックスの中に限界まで押し込まれていた。
「え……これ、本当に入るサイズなの?」
箱は雨の影響もあって柔らかくなり、角は潰れている。
しかも、周りにはほとんど隙間がない。
少し引っ張れば出ると思った。
でも動かない。
右に引いてもダメ。
左に押してもダメ。
角度を変えてみても、びくともしない。
気づけば10分以上、玄関前で荷物と格闘していた。
雨で濡れた段ボールはさらに変形していく。
「このまま無理に引っ張ったら、中身まで壊れるかもしれない」
そう思って、一度手を止めた。
宅配ボックスは便利なもの。
再配達を減らせるし、受け取る側にとっても助かる存在。
でも、荷物を入れることだけを優先してしまえば、受け取る人が困ることになる。
今回の問題は「雨だったから仕方ない」では済まないと思った。
配達員さんも忙しい。
何十件もの荷物を時間内に届けなければならない。
それは分かっている。
だから最初から怒鳴ったり、感情的に責めたりするつもりはなかった。
私は状況が分かるように写真を撮った。
潰れた段ボール。
ギチギチに詰められた宅配ボックス。
取り出せない状態。
証拠として残してから、配送会社へ連絡した。
担当の方は最初、
「そこまで入っているとは思いませんでした」
という反応だった。
しかし、写真を確認すると状況を理解してくれた。
「今後は無理に押し込まず、入らない場合は持ち戻りなどの対応を徹底します」
そう説明してくれた。
その後、別の担当者からも連絡があり、荷物の状態について確認してもらった。
幸い、中の商品には大きな傷はなかった。
でも、もし割れ物だったら。
もし大切な贈り物だったら。
もし中身まで雨で傷んでいたら。
考えるほど怖くなった。
便利な宅配ボックス。
でも、そこに入れる側にも、受け取る側にも守るべきルールがある。
「入ったからOK」ではなく、
「無事に取り出せる状態までが配達」
なのだと思う。
今回の件で、私は改めて感じた。
忙しい時ほど、最後のひと手間が大事。
たった数秒の判断が、受け取る人の10分間の苦労や、大切な荷物の運命を変えることもある。
今では宅配ボックスを見るたびに思う。
便利なものだからこそ、使う人同士の気遣いが必要なんだと。