娘の9歳の誕生日。
まさか、ケーキの箱を開けた瞬間に「怖い話」になるとは思ってもいなかった。
毎年、娘の誕生日には特別なケーキを用意していた。
その年も、いつものケーキ屋さんにお願いして、娘が大好きなキャラクターケーキを予約していた。
「今年はどんな顔になるかな」
娘が喜ぶ姿を想像しながら、私は数日前から楽しみにしていた。
そして誕生日当日。
予約時間に合わせて、お店へケーキを受け取りに行った。
店員さんはいつものように笑顔で対応してくれた。
「こちら、ご予約のケーキです。念のため中身をご確認ください」
私は箱を受け取り、その場でゆっくり蓋を開けた。
その瞬間。
手が止まった。
「……え?」
頭の中が一瞬、真っ白になった。
そこに入っていたケーキ。
娘のために注文したキャラクターケーキではなかった。
見たことのないデザイン。
可愛らしいけれど、明らかに別の目的で作られたケーキ。
そう。
入っていたのは、まさかのジェンダーリビールケーキだった。
赤ちゃんの性別発表で使われる、あのケーキ。
「……違うと思います」
思わず口から出た。
店員さんも私の表情を見て、不安そうな顔になった。
「……違いますか?」
いや、違う。
どう考えても違う。
今日は娘の9歳の誕生日。
家には娘が、このケーキを楽しみに待っている。
なのに、箱の中には家族の新しい命を発表するためのケーキが入っている。
状況が理解できなかった。
最初に思ったのは、
「他のお客様のケーキと間違えたのかな」
ということだった。
でも、店員さんが予約情報を確認した。
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