飲食店で働いていると、本当にいろいろなお客様に出会う。
でも、あの日の出来事だけは今でも忘れられない。
その日は週末で、店内はかなり混んでいた。
私はホール担当で、注文を取ったり、料理を運んだり、テーブルの片付けをしたりと走り回っていた。
そんな中、4人組の女性のお客様が入店した。
年齢は60代くらい。
楽しそうに会話しながら席につき、笑い声が店内に響いていた。
「女子会かな」
私はそう思った。
特に変わった様子もなく、普通のお客様に見えた。
しかし、入店から30分。
そのテーブルから注文が入らない。
さらに40分。
まだ注文ボタンも押されない。
スタッフ同士で確認した。
「あのお客様、注文まだだよね?」
「うん。メニューは見てるみたいだけど……」
忙しい時間帯だったので、こちらから何度も声をかけるのも迷った。
飲食店では、お客様がゆっくりメニューを選ぶこともある。
友人との会話を楽しみながら決めたい人もいる。
だから、しばらく待つことにした。
そして入店から約1時間。
突然、その女性グループの1人が手を上げた。
「すみませーん」
私は急いで向かった。
「はい、ご注文でしょうか?」
すると、その女性は少し困ったような顔で言った。
「あのぉ……お料理、まだできませんか……?」
一瞬、頭が真っ白になった。
料理?
でも、注文は……。
私は確認のため、笑顔で答えた。
「申し訳ありません。まだご注文をいただいていないようなのですが……」
すると4人は顔を見合わせた。
「え?」
「注文してなかった?」
「ずっと待ってたよね?」
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