「安全な車を作りたい」
その言葉は、ある青年が就職活動の中で記した純粋な夢だった。
車が好きだからこそ、ただ速さや性能を追求するのではなく、人の命を守る安全性と、運転する楽しさを両立させたい。エンジニアとして、誰かの生活を豊かにする車を生み出したい。
そんな未来を思い描いていた二十三歳の青年は、皮肉にも「安全」とは正反対の価値観で運転された一台の車によって、その人生を突然奪われることになった。
二〇一八年十月十九日午前二時すぎ。埼玉県飯能市平戸を通る国道二九九号で、取り返しのつかない事故が発生した。
制限速度が時速四十キロに設定された山間部のカーブへ、一台の車が時速約百二十九キロという異常な速度で進入した。
速度は制限値の三倍以上。
車はカーブを曲がりきれず、対向車線へ大きく膨らんだ。そして、正しい速度で走行していた対向車と正面衝突した。
その車を運転していたのは、大学院修了を目前に控え、大手自動車メーカーへの就職も決まっていた二十三歳の青年だった。
彼は幼い頃から温厚な性格で知られていた。友人同士の争いが起きれば間に入り、家族が困っていれば自然と手を差し伸べる。周囲から信頼され、愛される存在だった。
その優しさは運転にも表れていた。
慎重な性格だった彼は、常に安全確認を怠らず、無理な運転をすることはなかった。この日も大学の部活動仲間である親友を乗せ、楽しい時間を過ごした帰り道だった。
しかし、その帰路に突然、危険な車が現れた。
暴走車を運転していたのは三十四歳の会社員の男だった。
男には過去にも速度超過などによる違反歴があり、二度にわたって運転免許取り消し処分を受けていた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=VAU5BgUOTHU,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]