「文句あるなら離婚するか」
電話の向こうで、夫は悪びれもせずそう言った。
父が亡くなり、遺言が開封されたその日。
私は3000万円、母は自宅、兄も同じく3000万円を相続することになった。
すぐに使うつもりはない、いざという時のために取っておきたい。
そう夫に伝えていたはずだった。
数日後、夫は平然とこう告げてきた。
「お前が相続した3000万は、うちの家族に全額あげたぞ」
冗談かと思ったが、通帳を確認すると本当に全額が消えていた。
「お前の指紋でログインして送金しといた。ありがとな」
寝ている間に、こっそり指紋認証を突破されていたらしい。
「嫁の金は夫の金だろ」
夫はそう言い切り、義両親と義妹にほぼ全額を配ってしまったという。
田舎で年金暮らしの義両親への援助や、離婚寸前だという義妹への援助だと聞かされた。
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