私の名前はゆき。結婚して十年、七歳の息子が一人いる三十代の主婦だ。夫のとうやはメーカー勤めで、世間から見れば、まずまずの収入がある部類に入るだろう。持ち家もあり、息子もいて、犬もいる。外から見れば、何不自由ない家庭に見えたかもしれない。
けれど、実際の暮らしは、そんなきれいな言葉で片づけられるものではなかった。
「おい、飯まだか」
「今、できるから」
「ああ、遅えよ。旦那が席に着く頃には用意しとけって、いつも言ってんだろうが」
夫は、いつの間にか私を見下すようになっていた。最初からこんな人ではなかったはずだ。結婚した頃は優しく、私の話にもちゃんと耳を傾けてくれる人だった。だが、息子が生まれたあたりから少しずつ変わり始め、今では家の中でまるで王様のようにふるまう。
家事は完璧にこなして当然。育児も当然。さらに夫の横に立って恥ずかしくない見た目を保て。文句は言うな。頼んでもいないのに、次から次へと無理難題を押しつけてくる。そのたびに私は、息を飲んで耐えてきた。
それでも十年やってこられたのは、息子と犬のおかげだった。夫に何を言われても、息子が笑ってくれれば救われたし、犬が無邪気にじゃれついてくれれば、まだここにいていいのだと思えた。
そんな私には、ひそかな楽しみがあった。
息子が小学校に上がってから、昔から好きだったイラストを活かして副業を始めたのだ。最初はSNSに気まぐれで載せるだけだった。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=3gCoSZIfG6g,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]