私の名前は吉子。ごく普通の専業主婦である。
夫と私は、そろって園芸が趣味だった。だからこそ、少し広めの土地がある家を購入し、そこを終の住処にした。庭には花壇をつくり、畑には季節の野菜を植える。毎日土に触れ、芽吹きを見守る暮らしは、決して派手ではないが、穏やかで満ち足りていた。
互いの趣味を尊重しながら、静かに暮らしていたあの日までは。
その朝も、私は夫を仕事へ送り出したあと、家事を片づけて庭へ出るつもりだった。作業着に着替え、いつものように花の様子を見に行こうとして――そこで、足を止めた。
庭に、見知らぬ白い車が一台、無造作に停まっていたのだ。
我が家の車ではない。最初は、広い土地だから、誰かが間違えて入ってしまったのだろうと思った。けれど周囲に人影はない。持ち主も見当たらない。仕方なく、私はワイパーに「ここは私有地です。今後ご注意ください」と書いた紙を挟んでおいた。
そのときは、それで終わるはずだった。
ところが数日後、再び庭へ出た私は、思わず声を上げた。
「……何なの、これ」
そこには、何台もの社用車がずらりと並んでいたのである。
しかも、その中に、以前見た白い車も混ざっていた。しかも今回は、夫が丹精している畑の上を通ったのか、タイヤの跡までくっきり残っている。せっかく育てていた苗が踏み荒らされ、私は唇を噛んだ。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=D9C9ywkrxmU,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]