私の名前は山下明日香。大学二年生の、ごく普通の女子大生――そう言いたいところだが、ひとつだけ普通でない点がある。私は家柄の関係で、これまで一度も金銭的に困ったことがなかったのだ。仕送りだけで十分に暮らせたため、アルバイトなど必要なかった。
大学入学を機に実家を出て、一人暮らしを始めたのもその流れである。あと二年ほどで卒業、その後は実家に戻ることが条件。
そんな自由と制約の入り混じった生活を、私は案外気に入っていた。
友人も多く、里美、百合香、歩美とは特に仲が良い。四人でおしゃれをして遊び、笑い合う日々は楽しい。だが今年、私たちにはひとつ大きな目標ができた。就職活動で忙しくなる前に、四人で海外旅行へ行こう――そう決めたのだ。
初めての友人たちとの海外旅行。私にとっても特別な思い入れがある。だが、親の仕送りで旅行へ行くのは、さすがに気が引けた。だから私は、人生で初めてアルバイトをすることに決めたのである。
当然、両親への報告は必須だ。久しぶりに実家へ帰ると、母は嬉しそうに迎えてくれた。
「おかえり、明日香」
「ただいま。あんまり帰ってこないと親不孝だからね」
そんな何気ない会話をしていると、玄関の方が騒がしくなった。
「ただいま帰ったぞ」
「お帰りなさいませ」
父の部下たちが一斉に頭を下げる。私の父は、いわば会社の社長のような存在だ。帰宅するたびに部下たちが出迎える光景は、私にとっても珍しいものではなかった。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=BznvkoUHkbo,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]