その日の夕食に作ったのは、胃に負担がかからないよう柔らかく煮た料理だった。
夫が朝から胃の調子が悪いと言っていたため、仕事帰りに材料を買い、だしから作った。
午後7時18分、夫は帰宅すると着替えもせず、食卓へ座った。
そして料理をひと口だけ食べ、すぐに顔をしかめた。
「まずい。味がほとんどしない」
体調を考えて薄味にしたと説明したが、夫は聞かなかった。
「病人扱いするな。普通の味にしろよ」
私は言い返さず、椀を台所へ運んだ。
捨てるのはもったいない。
だし、しょうゆ、少量の塩を加え、もう一度温め直した。
味見をすると、先ほどよりかなり食べやすくなっていた。
「直したよ」
「最初からこれくらいできただろ」
感謝の言葉はなかった。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください