工事が始まったのは、5日前の午前8時だった。
家の真正面にある空き地へ重機が入り、地面を掘り返し始めた。
最初は数日くらい我慢しようと思った。
住宅を建てるなら、ある程度の音は仕方がない。
しかし、想像していた工事音とは違った。
窓ガラスが細かく震え、棚の食器が触れ合って音を立てた。
在宅勤務中のオンライン会議では、相手から何度も聞き返された。
「後ろで何か壊していますか?」
「家の前で工事をしています」
マイクを切っても、床から伝わる振動までは消せなかった。
3日目、私は工事現場の掲示板を確認した。
施工会社、責任者、工事期間、市役所の許可番号が記載されていた。
無許可工事ではない。
だからこそ、私は文句を言ってはいけないのかと迷った。
それでも念のため、騒音が始まった時刻と終わった時刻を記録した。
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