私の名前はサオリ。
もうすぐ三十歳になるが、私はまだ結婚していない。
正直に言えば、結婚について考える余裕すらなかった。数ヶ月前まで勤めていた会社が経営不振に陥り、大規模な人員削減が行われた。その中で、私もリストラの対象になってしまったのだ。
それ以来、私は再就職を目指して毎日のように求人を探し、面接を受けていた。しかし、なかなか採用されることはなく、現在はアルバイトを掛け持ちして生活している。
三十歳を目前にして、まだ実家暮らし。
そんな自分が情けなく感じることも多かった。
特に、私には二歳年下の弟、和也がいた。
和也は昔から努力家だった。国立大学に進学し、誰もが知っているような大手企業に就職。収入も安定していて、実家暮らしではあるものの、一人暮らしをしている人と変わらないくらいの生活費を家に入れていた。
姉の私から見ても、本当に立派な弟だった。
一方で、私は仕事を失い、家族に頼っている。
「私なんて……」
そう思ってしまうこともあった。
けれど、両親も和也も、私を責めることは一度もなかった。
「今は大変な時期なんだから、家族で助け合えばいい」
そう言ってくれる優しさが、逆に申し訳なく感じるほどだった。
そんなある日の夕食。
いつものように家族三人で食卓を囲んでいると、突然、和也が箸を置いた。
「あのさ……話があるんだ」
いつになく真剣な表情だった。
私も両親も自然と手を止める。
そして和也は、少し照れながら言った。
「俺、結婚することになった」
その瞬間、私は驚きで言葉が出なかった。
和也に付き合っている女性がいることは知っていた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=dqaUAK7E2YU,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]