「急いでいたので、空いている駐車場しか見ていませんでした」
自宅のブロック塀を壊した女性は、震える声でそう言った。
けれど、私には理解できなかった。
うちの駐車場には、私の車が止まっていた。
隣の家との境界にはブロック塀があり、玄関も別々だ。
どう見ても、隣の店の駐車場ではない。
それでも女性は勝手に車を乗り入れ、そのまま隣の家へ入っていった。
隣人は自宅でネイルサロンを開いている。
以前から客が私の駐車場を無断で使い、注意しても「すぐ帰ります」「間違えました」と言い逃れしていた。
4月にも同じことがあり、私は隣人に直接伝えていた。
「お客さんには、うちの敷地に止めないよう説明してください」
そのとき隣人は、面倒そうに答えた。
「毎回言ってるんですけどね。お客さんのすることまでは管理できません」
しかし、困っているのは私だ。
自宅なのに車を動かせない日もあった。
だから今回は、知らない車のナンバーと駐車状況を写真に残し、警察に連絡した。
到着した警察官が隣家を訪ね、女性に車を移動するよう注意した。
「しっかり説明しますので、いったんお待ちください」
そう言われ、私は家に戻った。
数分後、玄関のチャイムが鳴った。
先ほどの警察官が、困った表情で立っていた。
「申し訳ありません。さっきの方が駐車場で事故を起こしました」
外へ出ると、女性の車がブロック塀に接触していた。
車体には大きな傷。
塀の角も欠け、破片が地面に散らばっている。
「物損事故として処理します。お互いの連絡先を確認させてください」
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