「もう限界なのかもしれません……」
電話越しに聞こえた71歳女性の声には、長年積み重なった疲労と寂しさがにじんでいた。
彼女が相談した内容は、夫の介護についてだった。
夫は74歳。27年以上前、40代の頃に脳内出血を発症し、その後、右半身麻痺が残った。それ以来、妻は夫を自宅で支え続けてきた。
夫には認知症はない。しかし、数か月前に三度目の発作を経験してから、言葉を失い始めた。
声は出る。
けれど、単語しか出てこない。
以前のように会話を楽しむことができなくなった。
「主人が何を伝えたいのか分からないんです。分かってあげたいと思うほど、苦しくなってしまって……」
妻が一番つらいと感じていたのは、介護の作業そのものではなかった。
長年連れ添った夫と、心を通わせる会話ができなくなったことだった。
「この先、どうしていけばいいのか分からなくなる時があります」
そう語る彼女は、決して夫を見捨てたいわけではなかった。
最後まで家で面倒を見たい。
夫婦として一緒にいたい。
その気持ちは今も変わらない。
しかし、人間の心には限界がある。
毎日同じ部屋で、同じ景色を見ながら、同じ生活を繰り返す日々。
「これだけ頑張っているのに、どうしてこんな気持ちになるんだろう」
そんな自分への罪悪感とも戦っていた。
彼女には3人の子どもがいた。
長女と2人の息子。
子どもたちはすでに独立している。
近くに住む息子は仕事の合間に顔を出してくれるものの、介護の中心はあくまで母親だった。
遠方に住む息子は、なかなか帰ってくることもない。
経済的にも余裕があるわけではなかった。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=eqkjqR9F8wA,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]