その日、体調はすでに限界に近づいていた。
それでも私は「ただの風邪だろう」と思い込み、布団の中でやり過ごそうとしていた。熱っぽさ、めまい、動くたびに重くなる身体。それでも夫は、私の異変を軽く見ていた。
「そのうち治るだろ」
そう言って、病院に連れて行くこともなく、仕事へ出かけていった。
だが、その判断はあまりにも遅すぎた。
心配したのは実母だった。
「これは放っておけない」
母は強引に私を病院へ連れて行った。診察室で医師の顔色が変わるのを、私はぼんやりと見ていた。
「すぐに入院です」
その一言で、現実が動き出した。
点滴、検査、慌ただしく運ばれる病室。私はそこで初めて、自分の状態が“軽い風邪”ではないことを知った。
その頃、母は夫に連絡を取っていたらしい。
しかし返ってきたのは、信じがたい言葉だった。
「勝手なことをして!」
さらに、義母まで電話口に割り込んできたという。
「もう嫁子は義実家のものですから、あなたには関係ありません!」
そして夫も同調した。
「そうだそうだ!」
その言葉を聞いた瞬間、母は言葉を失ったという。
一方、私は病室で点滴を受けながら、ぼんやりと天井を見つめていた。
まだこの時は、自分の知らないところで何が起きているのか分かっていなかった。
だが、翌日。
事態は一気に動く。
担当医が病室に入り、静かにこう告げた。
「ご家族の同意が必要な処置があります。ただ…ご主人側と連絡が取れません」
私は初めて、胸の奥に冷たいものが落ちるのを感じた。
“連絡が取れない?”
その言葉は、単なる不在ではなかった。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=L8sLCLgHLgg,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]