夜11時過ぎ。
窓を開けた瞬間、鼻を刺すような煙の臭いがした。
「……またか」
嫌な予感がして下を見ると、そこにはオレンジ色に燃え上がる炎。
下の家の住人が、また庭で焚き火をしていた。
最初に見た時は「たまたまかな」と思った。
多少の庭仕事やバーベキューなら、近所付き合いもある。
だから私は何も言わなかった。
でも、それが間違いだった。
夏の間だけで、今回が4回目。
しかも毎回、時間は決まって夜。
周囲が静まり返った頃に、煙と火の光がこちらの部屋まで届く。
写真を撮ると、画像にははっきりと燃え上がる炎と、火の近くにいる人物の姿が写っていた。
「危ないと思わないのか……」
一番怖かったのは、ただ煙が迷惑という話ではなかった。
私の家との距離は決して広くない。
風が強い日なら、火の粉が飛んできてもおかしくない場所だった。
以前、一度だけ我慢できずに消防へ相談した。
その時は「状況を確認します」と言われ、しばらくは静かになった。
しかし、数週間後。
また始まった。
まるで何もなかったかのように。
「一回注意されたくらいじゃ分からないのか……」
その日の夜も、下の庭から煙が上がっていた。
私はすぐにスマホを取り出した。
炎の様子。
時間。
煙の量。
すべて記録した。
感情だけで怒鳴り込むのではなく、証拠を残すことにした。
通報すると、担当者は落ち着いた声で確認した。
「現在も火が見えますか?」
「はい。今も燃えています。今回で4回目です」
「以前にも相談されていますか?」
「はい。
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