「やっと見つけた……」
その言葉が出た瞬間、私は嬉しさより先に頭を抱えた。
原因は、妻の極度の方向音痴だった。
数日前のこと。
妻が車で出かけた帰り道、
「駐車した場所が分からない」
という電話がかかってきた。
最初は冗談だと思った。
「また迷ったの?」
笑いながら聞いた私に、妻は真剣な声で答えた。
「本当に分からない……同じような建物ばかりで……」
その場所は大きな商業施設の周辺。
駐車場もいくつもあり、似たような入口が並んでいた。
妻は車を停めた時、
「あとで分かるように写真を撮っておこう」
と思っていたらしい。
しかし、急いでいたこともあり、そのまま帰宅。
そして数日後。
車が必要になり、取りに行こうとした時だった。
「……どこに停めたっけ?」
そこから地獄のような捜索が始まった。
妻が覚えている情報は、
「近くにコンビニがあった」
「大きな看板が見えた」
「階段を少し歩いた」
それだけ。
私はスマホの地図を開き、周辺を歩き回った。
1時間。
2時間。
似たような駐車場を何カ所も確認した。
「本当にこの辺なの?」
聞いても、
「たぶん……」
という返事。
正直、怒りそうになった。
でも妻も泣きそうな顔をしていた。
結局、記憶を一つずつ整理しながら探し続けた。
そしてようやく。
7日後。
「あった!」
妻が指差した先に、見覚えのある車があった。
私は安心して近づいた。
しかし、その瞬間。
駐車場の精算機から出てきた紙を見て、言葉を失った。
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