「また来たの……」
土曜の昼前、インターホンが鳴るたびに、私は無意識にため息をこぼすようになっていた。
義弟夫婦が“当然のように”我が家へ来るようになって、もう半年になる。
最初はただの食事会だった。
「週末くらい一緒に食べましょうよ」「家族なんだし、気を使わないでくださいね」
そんな柔らかい言葉から始まったはずだった。
しかし気づけば、それは“習慣”ではなく“義務”へと変わっていた。
毎週末。
彼らは必ず手ぶらでやって来る。
食材も持たず、手伝いもせず、当然のようにテーブルに座る。
「いやー今日も豪華ですね」「これ、うちじゃ絶対作れないなあ」
そう言いながら、義弟とその妻は笑って箸を進める。
私は黙って料理を出す。
冷蔵庫の中身を計算し、買い出しに行き、下ごしらえをし、片付けまで全部一人。
夫は仕事で不在が多く、気づけば私は“無料レストランの店主”になっていた。
ある日、ついに限界が来た。
義弟の妻が、当然のように言ったのだ。
「来週は友達も連れてきてもいいですか?」
私は一瞬、言葉を失った。
ここは飲食店ではない。
予約制でもなければ、無制限のビュッフェでもない。
それでも彼女の表情には悪気がなかった。
むしろ“親切な提案をしている”という顔だった。
その瞬間、私の中で何かが静かに切れた。
その夜、私は一人で台所に立っていた。
シンクには洗い物が山のように積まれている。
冷え切った残り物の匂いが部屋に残っていた。
「どうして、ここまで当然のように来られるんだろう」
声に出すと、やっと現実が形を持った気がした。
私は“都合のいい家”にされていたのだ。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=eb3P8c1NgiQ,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]