「ただし、斜線が引いてあるから駐輪場、という意味ではありません」
店長の言葉に、男性は表情を変えた。
「でも、いつも自転車はあそこに止まってるだろ?」
「はい。この店舗では、斜線部分の建物側を自転車の一時駐輪場所として案内しています。
ただ、表示がないので、初めてのお客様には分かりません」
店長は外へ出て、斜線部分を指さした。
もともとそこは、自動車用の駐車区画ではない余白として設けられた場所だった。
以前は入口横や歩道付近へ自転車を止める客が多く、通行の邪魔になることがあったため、店側が斜線部分の内側へまとめる運用にしたという。
「では、あの人が教えてくれた場所自体は合っていたんですね?」
「この店では合っています。ただし、どこの斜線部分でも自転車を止めてよい、ということではありません」
店長によると、斜線は駐輪場を示す共通のマークではない。
車を入れないための余白や、人が乗り降りするための空間など、施設によって別の目的で使われることもあるという。
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