結婚式当日の朝。
私は、受付に飾られた一枚の写真を見た瞬間、言葉を失った。
そこには、私と夫・誠、そして亡くなった両親が写った大切な家族写真があった。
しかし、その写真には赤いマーカーで大きく書かれていた。
「貧乏人2人を入れるな」
その文字を見た瞬間、胸の奥が鋭く痛んだ。
この写真は、15年前に撮影したものだった。
両親が亡くなる直前、最後に三世代がそろった大切な一枚。
さらに、私たち夫婦が経営していた小さな町工場が倒産の危機を乗り越えた記念の日に撮った写真でもあった。
なのに、亡き両親の顔にまで赤い線が引かれていた。
隣に立つ誠を見ると、普段どんな苦労にも耐えてきた彼の表情が、初めて崩れていた。
式場スタッフが慌てて駆け寄ってきた。
「申し訳ございません。すぐに片付けます」
しかし私は首を横に振った。
「このままでお願いします」
証拠として残すためだった。
震える手でスマートフォンを取り出し、何枚も写真を撮った。
その時、誠が静かに言った。
「……帰るか」
怒りでも悲しみでもない。
そこには深い諦めだけがあった。
私は小さく答えた。
「はい」
私たちは何も言わず、式場を後にした。
背後から聞こえたゲストの声が、今でも耳に残っている。
「見た?あの落書き」
「本当に貧乏なのかしら」
「よく結婚式に来られたわね」
その言葉を背中で受けながら、私は歩いた。
駐車場に着くまで、夫婦の間に会話はなかった。
車に乗り込んだ瞬間、私は自分の手を見つめた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=PTAT58VsUxo,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]