私の名前は田中景子、六十歳。夫の正樹と共に、ひとり息子の大介を大切に育ててきた。
五月の晴れた日曜日。都内の高級ホテルで行われる大介の結婚式の日だった。
しかし、私たち夫婦のもとには招待状が届いていなかった。
何かの手違いだと思い、何度も大介へ連絡した。しかし返事はない。
胸の奥には不安があった。それでも私は母親だった。どんな形であっても、息子の晴れ姿だけは見届けたい。
そう思い、夫と二人で式場へ向かった。
豪華なホテルのロビーを抜け、披露宴会場へ向かおうとした時だった。
「あなたたち、何の用ですか?」
背後から聞こえた冷たい声。
振り返ると、そこには新婦・香織の母親である桜井夫人が立っていた。
高価そうなスーツを身にまとい、まるで私たちの価値を測るような目で見ている。
「息子の結婚式に参列しに来ました」
私は丁寧に答えた。
すると、桜井夫人は鼻で笑った。
「招待されていない方はお帰りください。ここは選ばれた招待客だけの場所です」
胸が締め付けられた。
「私たちは新郎の両親です」
夫の正樹が必死に訴える。
しかし桜井夫人は冷たく言い放った。
「警備員さん。この二人、不審者です」
すぐに警備員が駆けつけ、私たちの腕を掴んだ。
その時、桜井夫人は私の着物を見て嘲笑った。
「そんな古びた着物で、よくこの場に来られましたね。まるで雑巾みたい」
その着物は、私が大切にしていた上質な絹の一着だった。
だが、彼女にとっては人の思い出など関係なかった。
その瞬間、会場の奥から声が響いた。
「お母さん、何しているの?」
純白のウェディングドレス姿の香織が歩いてきた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=Qm0RIEwzwnE,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]