「貧乏人の席はあちらです。会場内に入られたら、雰囲気が台無しになるでしょう?」
春の冷たい風が吹く高級ホテルの駐車場で、嫁の母親・森川絵里子の冷たい声が響いた。
私は中村景子、58歳。隣に立つ夫の隆は60歳。元自衛官で、現在は地域の防災センターで働いている。
今日は一人息子・健太の人生で一度きりの結婚式の日だった。
私は息子の晴れ舞台にふさわしい姿で参加したいと思い、無理をして50万円の着物を購入した。
カードローンまで組み、少しずつ返済していく覚悟だった。
しかし、ホテルの受付で名前を告げた瞬間、森川家のスタッフは私たちを見るなり表情を変えた。
「少々お待ちください」
電話をかけた後、現れたのは健太の義母になる女性、森川絵里子だった。
彼女は私の着物を上から下まで眺め、ため息をついた。
「その着物……やっぱり安物ね。生地の質が全然違うわ」
胸が締め付けられた。
私にとっては、息子のために精一杯準備した大切な着物だった。
しかし、絵里子にとってはただの安物だった。
そして、彼女が案内した場所を見て、私は言葉を失った。
そこは披露宴会場ではなかった。
ホテル裏側の駐車場。
汚れたパイプ椅子と、ぐらついた折り畳みテーブルだけが置かれていた。
「ここが……私たちの席ですか?」
震える声で聞くと、絵里子は笑った。
「当然でしょう。会場内は大切なお客様でいっぱいなの。あなたたちのような人まで入れる余裕はないのよ」
夫の隆が静かに口を開いた。
「私たちは健太の両親です。息子の結婚式に参加する資格があります」
しかし絵里子は鼻で笑った。
「資格?笑わせないで。この結婚式に800万円出しているのは私たちよ。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=KfGFTn8hnLo,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]