「お母さん、歩いたほうが健康にいいですよ。足腰を鍛えないと、将来寝たきりになりますから」
電話越しに聞こえた嫁・リコの声は、驚くほど冷たかった。
その日は孫の誕生日だった。私はどうしても顔を見て、お祝いの言葉を伝えたかった。しかし外は台風のような豪雨。傘を差しても意味がないほどの強い雨風が吹き荒れていた。
それでも私は歩き始めた。
息子夫婦の家までは約5キロ。普段なら車で十分ほどの距離だった。しかし、私の車は今、自由に使える状態ではなかった。
膝には持病があり、歩くたびに痛みが走る。それでも孫の笑顔を思い浮かべながら、一歩ずつ進んだ。
私は桜井恵子、58歳。
夫の隆二とは30年以上連れ添い、穏やかな家庭を築いてきた。かつて私は国際線の客室乗務員として20年間働き、世界中の人々と接してきた。英語、フランス語、中国語を話し、多くの要人をもてなした経験もある。
結婚後は家庭を支えることを選んだが、夫の仕事を手伝うこともあり、周囲からは信頼される存在だった。
一人息子の拓哉は大手企業に勤め、3年前にリコと結婚した。
最初、私はリコを歓迎していた。
華やかな容姿で明るい性格。息子が幸せなら、それでいいと思っていた。
しかし、結婚から半年ほど経った頃から、少しずつ態度が変わっていった。
訪ねても玄関先で済ませられることが増えた。
「今日は忙しいので……」
電話をしても出ない。
拓哉に連絡しても、「リコが対応するから」と言われるだけだった。
そして決定的だったのは、息子から贈られたベンツだった。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=Kx1giFFb8Sc,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]