車で自宅へ戻る途中、道路脇を1人で歩く小さな女の子が目に入った。
まだ4歳くらいだろうか。顔を真っ赤にし、息が苦しくなるほど大泣きしていた。
夫が窓を開けて声をかけた。
「どうしたの? ママかパパはどこ?」
しかし、女の子は泣くばかりで会話にならない。夫が車を安全な場所に止めて近づくと、女の子はさらに大きな声で叫んだ。
「ママがいないのー!」
周囲を見回しても、保護者らしい人はいなかった。
男性だけで話しかけ続けると警戒されるかもしれない。そう考えた夫と交代し、私が女の子と同じ目線までしゃがんだ。
「1人で怖かったね。お名前は分かる?」
けれど、女の子は涙を拭いながら首を振るだけだった。
私たちは近所の人たちに写真を撮らないよう配慮しながら、「この子のお家をご存じですか」と尋ねて回った。すると、近くにいたお爺さんが一軒の家を指した。
「あそこの家の子じゃないかな」
女の子も「ここ」とうなずいた。
私は胸をなで下ろし、玄関のチャイムを押した。
反応はない。
何度押しても家の中は静かなまま。玄関には鍵がかかっていた。
「この家から出てきたの?」
「うん」
4歳の子が外へ出た後、なぜ玄関が施錠されているのか。
違和感を覚えた私は、「家が分かったから大丈夫」と立ち去らず、警察へ通報した。到着を待つ間、女の子を車には乗せず、玄関前の見える場所で一緒に待った。
約10分後、警察官が到着した。
事情を説明していると、買い物袋を抱えた女性が血相を変えて走ってきた。女の子の母親だった。
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