山形県の山あいにある小さな町で、三代にわたり木と向き合い続けてきた家具メーカーがあった。
その会社を築き上げた人物こそ、佐々木正一、72歳。
職人たちからは「木の声を聞く男」と呼ばれ、地域からも厚い信頼を集める経営者だった。彼が作り上げた家具は、ただの製品ではなかった。そこには職人の誇りと、人の暮らしを支えたいという想いが込められていた。
そんな正一には、三人の子供がいた。
長男の健一は東京にあるグループ会社の経営を任され、次男の修二は海外事業の責任者として世界を飛び回っていた。
二人とも父の会社を大きくするために働き、多くの実績を残していた。
周囲から見れば、佐々木家の後継者候補は二人の息子たちだと思われていた。
しかし、父が病に倒れ、人生の終わりを静かに迎えようとしていた時、彼のそばにいたのは意外な人物だった。
末娘の綾子だった。
綾子は父の会社で家具デザイナーとして働いていた。
兄たちのように大きな事業を動かしていたわけではない。海外を飛び回ることもなければ、華やかな肩書きもなかった。
それでも彼女は、毎日の仕事を終えると必ず父の病室へ向かった。
疲れた顔を見せることなく、父の好きだった本を持っていき、昔の思い出話をしながら、静かに寄り添い続けた。
「お父さん、今日は職人さんたちが新しい家具を完成させたよ」
「みんな、お父さんが戻ってくるのを待っているよ」
そう語りかける綾子の声を、正一は弱った身体で聞いていた。
一方で、二人の兄たちはなかなか病室へ来なかった。
会社の責任、海外との会議、重要な取引。
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引用元:https://www.youtube.com/shorts/0ZyQ4O7MoHA,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]