三十七歳になった俺は、仕事一筋で生きてきた。
新卒で入社した中小企業で必死に働き続け、今では責任ある立場を任されている。忙しい毎日ではあったが、七年前に十歳年下の妻と結婚し、穏やかな家庭を築いていた。
周囲からは「若い奥さんがいて羨ましい」「幸せそうだな」と言われることも多かった。確かに妻は明るく自由な性格で、やりたいことを見つけると一直線に進んでいくタイプだった。
そんな彼女の性格を理解した上で結婚したつもりだった。
しかし、時には寂しさを感じることもあった。
ある日、仕事が長引き、帰宅したのは夜十時を過ぎていた。疲れ切った体で玄関を開けると、家の中から温かな料理の香りが漂ってきた。
不思議に思いながらリビングへ向かうと、そこにはキッチンに立つ義母の姿があった。
「お母さん、来てくれていたんですか?」
「遅かったわね。娘から連絡をもらったの。夕飯くらい作ってあげようと思って」
義母は優しく笑いながら、俺の上着を受け取ってくれた。
その瞬間、不思議なほど心が軽くなった。
妻が旅行や予定で家を空けるたび、義母は時々こうして家のことを手伝いに来てくれていた。
料理も家事も完璧で、疲れた俺にとって、その存在は大きな支えになっていた。
食卓に並んだ料理を口にすると、自然と言葉がこぼれた。
「本当に美味しいです。店で食べるより美味しいですよ」
「いつもそう言ってくれるから、作る甲斐があるのよ」
義母は嬉しそうに笑った。
その笑顔には、不思議な安心感があった。
義母は四十代後半だったが、身だしなみを大切にし、仕事をしていた頃の誇りを今も持ち続けている人だった。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=rW5YhgF3mxg,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]