母が亡くなったのは、今からちょうど3年前のことだった。葬儀を終え、いろいろな手続きに追われる中で、実家で長年契約していた新聞の解約手続きも、比較的早い段階で済ませていた。母は毎朝新聞を隅々まで読むのが日課で、亡くなる直前まで、その習慣は変わらなかった。
ところがその後、実家に立ち寄るたびに、玄関先には変わらず新聞が置かれていた。
最初は解約手続きが上手くいっていなかったのだろうと思い、大して気に留めていなかった。しかし1年が過ぎ、2年が過ぎても、新聞は毎朝欠かさず届き続けていた。実家に住み続けている父も、「そういえば、いつまで届くんだろうな」と、のんびり構えていたくらいだった。届いた新聞は、結局誰も熱心に読むことなく、リビングの隅に積み重なっていくばかりだった。
不思議に思い、販売店に問い合わせてみることにした。窓口の担当者が契約状況を確認したところ、記録上は確かに、3年前の解約手続きがきちんと完了していた。それなのに、なぜ配達が今も続いているのか、担当者自身にも状況が分からない様子だった。料金の引き落とし記録を確認してもらったが、こちらも解約以降、一切発生していなかった。
無償で配達され続けていたことになる。担当者は「システム上の重複契約なども考えられますが、こちらでは確認できませんでした」と、困惑気味に答えた。
販売店の担当者は「配達員に直接確認してみます」とだけ言い、電話を切った。数日後、実家に、担当の配達員だという初老の男性が訪ねてきた。長年この地域を担当してきたという、物腰の柔らかな男性だった。
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