結婚5周年の記念日、半年前から予約していたレストランでのディナーコースだった。予約サイトで確認した際、2名分のコース料金は34,800円と表示されていた。当日メニューの確認メールも改めて見返し、金額に間違いがないことを確かめてから出かけていた。妻とは久しぶりにゆっくり出かける機会だったので、洋服も新調して、当日はいつもより少し華やいだ気持ちで店に向かった。
料理も雰囲気も申し分なく、久しぶりにゆっくりとした時間を過ごすことができた。ワインの選び方も丁寧で、サービスにも特に不満を感じるところはなかった。窓際の席からは夜景もきれいに見え、写真も何枚か撮って、その場ではすっかり満足した気持ちになっていた。ところが会計の段になって、店員が差し出した伝票を見た瞬間、目を疑った。合計金額は68,200円と記載されていた。
慌ててスマートフォンで予約確認メールを開き、店員に見せた。「予約時は34,800円だったはずなんですが」。店員は伝票と画面を交互に見比べ、明らかに戸惑った表情を浮かべた。伝票の内訳をよく見ると、「シャンパンペアリング」「特選和牛追加」「デザート全種盛り」という、身に覚えのないオプションが3つ、しっかりと加算されていた。
妻も画面を覗き込みながら、「こんなの頼んでないよね」と、私に小声で確認してきた。
「こちら、恐らく予約フォームの初期設定になっているようで……」と、店員は歯切れの悪い説明を口にした。「初期設定」という言葉に、私は違和感を覚えた。予約時、そんなオプションを選択した記憶はまったくなかった。店員はいったんバックヤードへ確認しに行き、しばらく戻ってこなかった。
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