「ここは車を止める場所です。バイクを移動してください」
朝、出勤しようとカブのところへ行くと、ハンドルに1枚の紙が挟まっていた。
私が止めていたのは、建物脇の細長いスペース。
すぐ横には金属製のポールが立ち、奥には壁がある。
軽自動車でも入れば、ドアを開けるどころか、曲がる途中でポールにぶつかりそうな幅しかない。
私は入居時、管理会社の担当者に確認していた。
「ここ、原付を置いてもいいですか?」
担当者は現場を見ながら答えた。
「車両の通行を妨げない位置なら大丈夫です。ここは自動車用の区画ではありません」
それ以来、私はカブが通路にはみ出さないよう、毎朝同じ場所に寄せていた。
ところが最近、近所の男性から何度も注意されるようになった。
「そこにバイクがあると、車が止められない」
「この幅にですか?」
「空いているんだから、車用に決まってるだろ」
男性は道路側から見ただけで言い切った。
私は、ポールと壁の間を指さした。
「車を入れたら、降りられないと思いますけど」
「運転がうまければ入る」
そこまで言われると、私も返す言葉がなかった。
いったい、どれほど細い車を持っているのだろう。
それでも勝手に判断して争うのは避けたかった。
私はカブの位置、ポール、壁、通路との距離が分かるように写真を撮り、管理会社へ連絡した。
翌日、担当者が巻き尺を持って確認に来た。
問題のスペースは、一般的な自動車用区画より明らかに狭かった。
しかも、入口部分にはポールがあり、無理に車を入れれば接触する危険がある。
「やはり、ここは自動車の駐車区画ではありません」
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