父の葬儀が終わったその日、家に戻ると夫のかずやが義両親を連れてきた。義母は開口一番、こう言った。
「引っ越しはいつにすればいいかしら。まさかタワマンに住めるなんてね」
意味が分からずにいる私に、かずやは苛立った様子で本音をぶちまけた。
「俺はな、本当はお前の父さんとの同居なんて嫌だったんだよ。都内で裕福な暮らしができると思って、資産家のお前と結婚したのに、贅沢もできず同居までさせられ、挙げ句の果てに介護を手伝えだ」
私は父の入院、そして同居生活を思い出した。父は快く同居を受け入れ、生活費もいらないと言ってくれた。休日はかずやの店にも出資し、私は運転手として父を望む場所へ連れて行った。それなのに父が寝たきりになってからのかずやは、頼んだ食事の世話すら放棄し、義母までもが「かずやが可哀想」と責め立ててきた。
「散々我慢してやったんだ。報酬としてお父さんのタワマンは俺に渡せ。もう母さんたちは実家を売りに出してる。
さっさとタワマンを俺に起こせ」
かずやはそう言って、離婚届を私の目の前に突きつけた。
心のどこかでプツンと何かが切れる音がした。
「分かったわ」
「え?いいのか?離婚って言ってるんだぞ」
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