携帯電話会社から届いた家族シェアプランの明細を見て、私は思わず目を疑った。いつもは3人分合わせて1万円台で収まる請求額が、今月だけ89,600円になっていた。契約しているプランは月20GB、海外ローミングのオプションは一度も申し込んだことがなかった。家計簿をつける習慣があったので、毎月の携帯料金の範囲はだいたい頭に入っていた分、今回の金額には余計に驚かされた。
同じ画面を、何度もスクロールして見直したが、金額はやはり変わらなかった。
内訳を確認すると、「海外通話料 78,400円」という項目があった。利用されていたのは、大学を卒業したばかりの息子の回線だった。息子はちょうど1週間前まで、友人たちと卒業旅行で東南アジアの数か国を回っていたはずだった。旅行中は毎日短いメッセージが届いていたので、無事に楽しんでいるとばかり思っていた。
慌てて本人に連絡すると、電話の向こうで、少し気まずそうな声が返ってきた。「実は、スマホ、旅行の2日目からずっと見つからなかったんだ」。ホテルのプールサイドに置き忘れたのか、盗まれたのか、はっきりとは分からないという。
息子は帰国後、新しい端末をこっそり買い直し、家族には何も言わずに済ませるつもりだったと打ち明けた。心配をかけたくなかったのと、自分の不注意を怒られたくなかったのとで、なかなか言い出せなかったのだという。「明細が来たらどうせバレるのに」と私が呆れて言うと、息子は「バレる前に何とかしようと思ってた」と、決まり悪そうに答えた。
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